【インドどローカル日記5】お金ではなく水を求める女の子。インド最大のスラム街ダラビ。

2017年12月2日。
今年もあと1ヶ月で終わろうとしているところに僕はインドのムンバイに兄とやって来ました。2日目の今日は、このムンバイ旅行でも一番気にかけていたスラム街ダラビへ行く予定でした。
- インド最大のスラム街ダラビ
- 洗濯がお仕事、ドビーガート
- そびえ立つ高層マンション、垣間見る貧富の差
この辺について触れて、僕自身感じたことを最後にまとめで頑張って言語化していこうと思います。
ムンバイに来た最大の理由は、映画「スラムドック$ミリオネア」の舞台にもなっているスラム街ダラビを一目見たいという思いがあったからなのです。
インドは想像ができるかもしれませんが貧富の格差が大きく、その差は世界第2位という調べも出ています。
以前のタイの社会保障制度の投稿でも使った下記の記事になりますが、1位のロシアに続きインドが2位と記載されています。
All the world’s most unequal countries revealed in one chart
スラム街ダラビ
NGOの支援の一環としてスラムの現状を旅行者に知ってもらう目的で組まれているスラムツアーなども存在します。ですが今回は、兄と二人ですし、ツアーでは動きに制限も出るという事で個人的にダラビ地区を散策することにしました。実際に欧米人のツアーと思われるグループも見かけました。
いくつか写真を載せようと思いますが、一口にスラムと言っても「この世の終わり」のような地域ではないことだけは先に言っておきます。なんなら2年前にバックパックで訪れた時にコルカタで目撃した超ローカルの置屋(いわゆる小汚い売春宿)の方が色々とカオスでした。
まあ意外と普通
さて、広いダラビ地区に足を踏み入れました。人権保護の関係でいわゆるスラムと言われる地域で人々の撮影を行うことはタブーとされていますが、ある程度の街の様子は載せていきたいと思います。
写真の彼は自ら「オレを撮ってくれて!」と言って来たので、、、日本人と写真撮りたがる現地人、これバックパック旅とかでもかなりあるあるの現象ですよね。
本日はなんとたまたまお祭りだったようで凄まじい爆音の演説、音楽、子供達のお遊戯など、大きな通りではそこら中に人がわんさかわんさか。この辺りはイスラム教徒が多いように感じました。おそらくお祭りもイスラムの何かだったと思われます。
インターナショナルスクールと書かれた門から出てくる子供達は「どこから来たの?」「ここがダラビだよ!」「今日はお祭りなんだ、ラッキーだね!」と元気に外国人である僕らに対して人懐っこく英語で話しかけて来ます。
非常に活気ある街並み。ご飯やら土器やらそこら中に何かしら小売がいて、まあうるさい。
ちょっと建物の裏の方とかいくと、子供が数人でキャッキャとクリケット(インドの国技、野球の親戚みたいなスポーツ)をしていました。僕のiPhoneを見るなり「iPhoneⅩ??」てしつこく聞いてくる。いまだに日本の悪しきキャリア契約に縛られている僕がⅩを手にするのはいつになるのか。
外国人が珍しいのか街の案内を買って出る子供達、ガイドしてやるからお金よこせ、とか言われるわけでもなく、飽きたらどこかへぷらっと離れていく。とりあえずみんな元気。
所謂「スラム」と言われて想像するそれとは全く違った印象を受けます。
とまあ、ここら辺は「スラムっていうけど、子供達は笑顔で、そこの人々は幸せそうにみんな暮していた!」ていうなんかありがちな路線。
プラスチックのスプーンをせっせと仕分ける女性。
後から調べたらダラビにはいくつか区域が分かれているらしいです。僕らは商業地区、住宅地区、マーケット地区、恐らく大体の地域を回ったのではないだろうか。結構歩き回った。
商業地区の中でもゴミのリサイクルが大きな割合を占めているらしい。リサイクルの他には、ダラビではなんと革製品の独自ブランドが発達し、ダラビで作られたその革ブランドのグッズはインド中に運ばれているとのこと。その地域独自のブランドを作ることで生活向上を図る取り組みは結構色々なところでもされていますよね。
革ブランドの製造場所はどこかわからず足を運べなかったですがリサイクル現場には足を運んびました。
高く積み上げられたゴミの山。そこら中に転がるゴミの残骸。まあ、ゴミはインドのどこ行ってもそこら中に捨ててあるけども。
「ブイーーーン」
けたたましい音がする。ゴミを機械で処理している模様。
写真よりももっと狭い裏路地みたいなところにも、ひっそりと小さい部屋があって、その薄暗い部屋でも何やらガチャガチャ音が聞こえる。
そこには手作業でゴミを仕分ける女性の姿が3〜4人見受けられました。小さい小さいプラスチックのスプーンなども仕分ける対象になっているようでした。
水を求める女の子
その後、少し高いところから全体を見渡すべく歩きを進めていく。
「スラムドック$ミリオネア」で出てくる子供達が走り回る土管を見たいという気持ちもありました。
歩いている最中に小さな女の子とすれ違いました。その女の子は手を差し出して僕に何か求めているようでした。
「お金はあげないよ」
幾度もなく経験しているはずなのにどうしてもどこか慣れないこのムガムガした気持ちを抑え横を通り過ぎました。
すると後ろから、
「パニ、、パニ、、」
と少女が呟きました。
インドに来たことがある人は分かるかと思いますが、「パニ」とはヒンディー語で「水」を意味します。
僕は手に水の入ったペットボトルを持っていました。
女の子は初めからお金じゃなくて水を僕に求めていたのでした。
僕は女の子の手に水を2〜3度汲んであげました。
水を飲み干した後、女の子は何も言わずに去って行きました。
ゴミが溜まる道路。奥にはムンバイの住宅マンションの様子が垣間見える。
屋根の上にもゴミとかちらほら。
ちなみに住宅区域とかも覗きましたが、濁った下水がすぐ下を流れている箇所などもあり、汚いなあと感じてしまった部分もやはりありました。
洗濯することが仕事のドビーガート
次に訪れたのが、ドビーガート。ダラビとはまた違った地域となります。
ここはカーストの名残で洗濯をすることがここの住人々の仕事としていまだに定着している地域です。
ここでは、兄が五年前に同じ場所から撮影した写真を見比べてみます。
下が兄が2012年3月に撮影したもの。上が今回2017年12月に撮影したもの。
5年という月日を経て変化したのはこの奥にそびえ立つ高層マンション群の様子だけ。
時が止まったかのような下半分と、都市の発展が垣間見える上半分。
これが不平等格差世界2位の国。
感じたこと
はい。少し頑張って真面目に書いたつもりです。
ムンバイは、インドの中でもヒンドゥー、ムスリム、クリスチャン、など様々な宗教が入り混じっており、貧富の格差、電車のローカル感、植民地時代を彷彿させる街並みなど、ある意味今まで訪れたインドの都市の中でもインドの色々な要素を凝縮させたような印象を受けました。
これまでフィリピンのスモーキーマウンテン近辺、バンコクのクロントゥーイスラムなどにも足を運んだことはありました。その度に、結局自分が何したいかよくわかんなかったです。
そもそもどう感じたのかすら言語化できていなかったです。
一概に何が悪くて、何が良いとは言えるものではないと思っています。スラムに住むから不幸せとか、逆にみんな幸せそうだから大丈夫、とかそういう話ではなく、実際に生活の中で衛生的問題から健康被害が出るなど、目を背けられない様々な問題を孕んでいるのは自明のこととなっています。それらを改善するべきと考える部分もありますし、どうにかしたいという気持ちももちろんあります。
今回考えた中で、小さいことではありますが、ゴミを極力出さないようにしようと改めて思いました。いくらリサイクルが今回のダラビ地区の商業の幾らかを担っているとはいえ、その仕事のせいで衛生的な被害が生まれ、そしてその仕事にすがるしかなくなり生活水準の向上もなかなか見受けられない。フィリピンのスモーキーマウンテンなどは環境問題にも発展していますし。環境を配慮する意味でも、日々の小さなことを改めて見直しいくべきだなと。
それとは別で、自分にもっと何ができるのだろうと考えます。それと自分にとって何が大事なことなのかも考えます。僕が生まれ育った環境とは離れたところに暮らす見ず知らずの人々と僕を育てくれた環境の人々、どちらが大切なのか、とか。
誰のためにとか、何をしてる、何ができる、とか、そういうのはどんどん変わるものだと思います。少なくとも現時点では、僕が描く誰のためにの最優先にダラビの人々は挙がっていません。
今僕にできることは、知っている、を増やすこと、そして、できる、をもっと増やすこと。「好奇心は知っていることからさらに生まれる」、という文言を先日ネットでちらっと見かけました。とにかく知ることが第一歩。
ムンバイに関しては今回スラムなどにあえて焦点を当てて書きましたが、ちょこちょこ述べたようにマンションなど街の発展具合もものすごいです。JICAの支援のもとに地下鉄の開発が進んでいたり、無印などを含むその他超高級ブランドが店を構えるショッピングモールがあるなど、色々な側面を見ることができ、経済発展など様々なことを感じることができます。決して偏った見方はしないようにしています。
後半の方、少し頑張ってかっこつけて書いてみたつもりですが、かっこつけたがってるのが伝わっていたら幸いです。
最後に、色々とムンバイを一緒にまわってくれた兄にも感謝です。
ではでは、平和。
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